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2019/08/08

「串カツ田中」全面禁煙の影響とその後

受動喫煙防止対策の一環で2018年6月から全席禁煙を実施した「串カツ田中」
19年11月期の第2四半期決算では、売上高と経常利益いずれも前年同期比で約4割増の増収増益となりました。
一方で、2019年7月の既存店売上高は前年同期比で95.9%となり、2019年3月以降5ヵ月連続で100%を下回っている状況です。

 

この結果を受けて引用記事では、串カツ田中が先行き不安で「正念場」を迎えていると分析しています。
しかし私は正念場であることには同意しますが、先行き不安かというとその判断については早計ではないかと考えています。

 

串カツ田中の禁煙実施後の経緯をまとめます。
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■2018年6月から全席禁煙実施。
同時に、「客層や時間帯別の施策を強化」など、新しい顧客層への訴求に注力。
具体的な取り組みとしては、例えば小学生以下の顧客には子供自身で作るソフトクリームやたこ焼きを無料で提供するなど。
結果として、「子供連れのファミリー層」や「高校生のような未成年者層」といった新しい顧客層が「手ごろにおやつを食べられる場所」として串カツ田中を利用するようになった。
 

2018年6月禁煙実施後の実績は下記のとおり。
・同月の直営店の来客数は前年同月比2.2%増。
・一方、客単価は5.0%減で、売上高は2.9%減少。

 
■禁煙実施後の推移。
2018年8月、10月、12月には既存店の客数が前年同月比10%以上の高い伸びを見せた。

 
時間帯別の売上については、早い時間帯の売上高が増加する一方で、深夜帯のそれは減少。
喫煙者グループが減少した反面、非喫煙者グループが増えるなど、顧客の利用シーンが変化した影響だと思われる。
2018年の禁煙化以降、「会社員・男性」グループの割合が減少、禁煙を好感した「家族」客の割合が増加という構造。

 
2019年7月の既存店客数は同99.7%、客単価は同96.1%と大幅に落ち込んだ。

 
■立地戦略の変化。
これまでの「会社員」をメインターゲットにした居酒屋から、ターゲットを「家族連れ」にシフトしたことに連動して、立地戦略も「地方への進出」という形に戦略転換。

 
2019年11月期(2018年12月~2019年11月)も独自の戦略に力を入れ、特に地方での出店に注力。
同社は2019年11月期、直営で33店、フランチャイズで31店の出店を目指しているが、直営店の半数以上とフランチャイズの8割程度を関東圏以外に出店する見込みとのこと。
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もともとターゲット顧客を変えたことで、客単価や売上が低下することは想定済みでした。
気になるのは、禁煙実施後は伸びていた来店客数が、2019年7月に僅かながら前年割れしていること。

 

しかし私が懸念しているのは戦略の「ブレ」です。
今流行りのサブスクリプション(定額制)を導入、500円で1ヵ月間ドリンクが199円となるサービスを展開し、再びサラリーマンの取り込みに注力し始めました。

 

企業宴会需要に支えられてきた総合居酒屋業界は前年割れが続いている状況です。
むしろ、喫煙者が減り続けている現在では禁煙対策の遅れによる客離れリスクも考えなければなりません。
実際に日本の喫煙率を見てみると、
■平成元年
・男性:61.1%
・女性:12.7%
■平成30年
・男性:27.8%
・女性:8.7%
と平成だけ見ても激減しているのがわかります。

 

今後、串カツ田中が「ファミリー層」という新たな顧客を獲得し定着させるためには、立地・メニュー・サービスなどストアコンセプトに一貫性を持たせる必要があるでしょう。
串カツ田中の新たな取り組みを正しく評価するためにはもう少し時間を要するので、注目しておきたいと思います。

 

ターゲット顧客に的を絞って、立地やサービスに一貫性を持たせているアメリカのスーパーマーケットの事例です。
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■店舗視察事例:PCC ナチュラルマーケット

店舗視察事例:PCC ナチュラルマーケット

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子供への食育を通じて将来のPCCのファンを増やし市場を育てるという取り組み。
そのため、PCC全ての店内に料理教室の専用スペースを設けています。
また、周辺の学校に食材を持ち込み子供たちに食べてもらい、味に関するアンケートを収集、その結果を店内で情報開示を行うなど、「子供への食育(=客育)」という戦略にブレがありません

 

私はPCCに2007年・2016年・2018年と3度視察に行きましたが、10年以上にわたり一貫性を保っているのです。
串カツ田中が新たな顧客層の取り込みに成功し、次回は「絶好調」の記事がかけることを期待しています。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

【引用記事】
串カツ田中が5カ月連続前年割れの変調、全面禁煙が招いた2つの難題
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190808-00211231-diamond-bus_all

      

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田中 潮

店舗向け顧客管理システム営業、地域密着型成功小売店のアメリカ視察を経て、10年以上に渡り店舗業向けのデータ分析・マーケティングアドバイス業務を行う。
理論だけでない、具体的な事例を多数紹介したセミナーは参加者から高い評価を受けている。

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