塚田農場の苦境から学ぶ模倣困難な競争力
地鶏専門店「塚田農場」で有名なAPカンパニーが、2014年5月から直近の18年1月まで45ヶ月連続で既存店の売上が減っているという苦境に立たされているようです。
もともと塚田農場は、下記の理念経営を基に(料理だけでなく)接客サービスの素晴らしさが評価されて店舗数を伸ばしてきました。
具体的な取り組みを紹介します。
新入社員には自社の畜産農場などで研修するプログラムがあり、実際に生き物と向き合う生産者の苦労や、大切に育てた地鶏を食鳥処理する過程などを体験させています。
これにより、提供している食材は命であり、それに報いるには(お客様に最高の笑顔で)「美味しい!」と言っていただくことなのだという理念を学ぶのです。
一時期評判になった下記の販促システムは、上記の「理念経営」を前提として成立するサービスです。
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①客単価(4000円)の1割(400円)を顧客に還元するサービスとして予算化
②アルバイトに、顧客満足を提供する為の権限付与(上記の400円分)
③アルバイトの判断で無料サービス(例:ある鉄板料理を食べたお客様に、その鉄板でつくるガーリックライスをサービスなど)
④顧客を飽きさせない事で、60%~70%リピート
※塚田農場では、来店する度に課長→部長と出世していく「昇進する名刺」を配っている。
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まとめると、塚田農場の強みは下記の2点です。
・自社農場による中間マージンを省いた高額な地鶏を、こなれた価格で提供する。
・従業員のモチベーションが全般に高く、接客レベルが高い。
この2つを徹底することで、急激に店舗数を伸ばして上場に至りました。
しかし、一方で急激なチェーン展開=平均化(マニュアル化)という壁に突き当たってしまったのです。
記事中では下記の様に分析されています。
『社内の問題としては、急成長したツケとして、店長や料理長の不足が露呈。結果的に接客、料理のレベル低下を招いて、顧客離れを引き起こしてしまったのではないかと考えられる。』
私も同じように考えています。
例えば、上記の販促システムに関しては(理念なくして)システムだけを導入しても簡単に模倣されてしまう内容です。
従業員の「食材の命に報いる」=「お客様に喜んでいただく」という理念とセット展開することで、模倣困難な競争力を生み出す事が出来るのだと思います。
今回の記事の内容について、参考にしていただけるアメリカの店舗を紹介します。
このお店は、400店舗近いチェーン店でありながら、地元のお客様に喜んでいただくため敢えて効率化優先のチェーンストアオペレーションを採用せず(同じお店をつくらず)、地元の感性に合ったお店をつくる事でファンを増やし続けています。
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■商品も販促物もサービスも全て「手作業」でファンを増やしている「トレーダージョーズ」
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PB中心の商品展開で点数を絞っているとは言え、店内のPOPやプライスカード全て手描き(!)です。
一見、非効率ですが、これが他店では簡単に模倣できない競争力となって世界中でファンを増やしているのです。
参考になれば幸いです。
ありがとうございました。
今回のアメリカ視察事例や顧客台帳活用セミナーなどについては、皆様の店舗に訪問する形で個別でも行っています。
ご関心がある方は、下記のページからお問い合わせください。
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【引用記事】塚田農場の売上減が止まらない。既存店45ヶ月連続割れの悲しき要因
※上記タイトルをクリックしていただくと、詳細記事がご覧いただけます。
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田中 潮
店舗向け顧客管理システム営業、地域密着型成功小売店のアメリカ視察を経て、10年以上に渡り店舗業向けのデータ分析・マーケティングアドバイス業務を行う。
理論だけでない、具体的な事例を多数紹介したセミナーは参加者から高い評価を受けている。